水原希子さんがハロウィンでアルバローザを着用した際のインスタグラムが話題になったことを覚えていますか?90年代から2000年代初頭にかけて、ギャル文化を代表するブランドとして一世を風靡したアルバローザ。あのハイビスカス柄を見ると、当時の懐かしい記憶が蘇る方も多いのではないでしょうか。
アルバローザとは?
「ギャルブランド」として有名なアルバローザについて紹介していきます。
コンセプトは「ヨーロッパリゾートファッション」
アルバローザは1975年に加藤保氏によって設立されたブランドです。ブランド名の由来は、イタリア語で「バラ色の夜明け」を意味する言葉。エアラインのキャビンアテンダントだったイタリア人女性のニックネームからつけられました。
ピンクのハイビスカスロゴからハワイをイメージする人が多いですが、実際のルーツはヨーロッパのリゾート地にあったのです。デザイナーたちはコートダジュールなどを視察し、現地のスタイルを日本に持ち込んだのが始まりでした。
「パラギャル」という誤解が生まれた背景
1992年に『JJ』誌上で打ち出された「パラダイスガール」という言葉が、いつの間にか「パラギャル」と略されて広まったことが、アルバローザがギャルブランドとして認識される大きなきっかけでした。
本来のブランドコンセプトは、次のような美しい言葉で表現されていました。
「Healthy like sunshine, Sexy like sunset, Fresh like sea breeze, And above all Fun like flash back」
これは、清々しく健康的な朝の時間も、女性らしくオシャレな夜の時間も、潮風を浴びて活動的に楽しむ時間も、すべてにアルバローザが寄り添うという意味が込められていたんです。
90年代の大ブームと偽造品問題
時代の流れとともに、アルバローザは予期せぬ形で脚光を浴びることになります。
ギャルブーム到来で意図せぬ人気爆発
1990年代後半、ガングロやヤマンバといったギャル文化が花開いた時代。リゾートファッションを街着として着用するスタイルが生まれ、アルバローザは多くのギャルの憧れのブランドとして支持されました。
しかし、これはブランド側が意図したものではありませんでした。ギャル系雑誌『egg』や『Ranzuki』などへの商品貸し出しは行わず、広報露出も絞っていたにも関わらず、無断で特集やプレゼント企画が組まれることが多々あったのです。
深刻化した偽造品問題
人気が高まるにつれて、深刻な問題も発生。それが偽造品の大量流通です。
2004年時点で、正規取扱店は約70店舗でしたが、偽造品を扱う店舗は173店舗も確認されていました。韓国製の偽造品が織ネームやタグまで精巧に模倣して市場に出回り、ブランドイメージを大きく損なう結果となったのです。
突然の全店閉店
ビジネスとしては絶好調だったアルバローザでしたが、2005年に衝撃的な決断を下します。
2005年、人気絶頂での全店閉店
2003年度には売上のピークを記録し、ビジネスとしては絶好調でした。しかし、本来のブランドコンセプトからかけ離れたイメージをリセットするため、2005年に全店舗を閉店したのです。
これは、創業者の「ブランドの価値を毀損しない商売をしていきたい」という強い意志の表れでした。利益よりもブランドの理念を重視した、非常に勇気ある決断だったと言えるでしょう。
ライセンス展開での復活劇
2006年からは、アルバローザジャパン社がライセンシーとして販売を開始しました。イメージモデルに梨花さんを起用し、ギャルブランドのイメージ払拭を図ったシティファッションへのリブランディングを行いました。
しかし、2012年にライセンス契約を終了し、その後2014年まで別の企業がライセンス展開を行いましたが、現在はオリジナル商品の販売は行っていません。
現在のアルバローザの活動
では、現在のアルバローザはどのような活動を行っているのでしょうか。
「ALBA ROSA LAB」での新たな挑戦
2017年3月、原宿のアルバローザビル1階に多目的スペース「ALBA ROSA LAB」を開設しました。これは、これまでの「モノ」から「コト」への発信へとシフトした新しい試みです。
サップヨガやボディボード選手と連携した体験イベントなど、海やリゾートにつながる楽しいライフスタイルを提案する拠点として活用されています。
アーカイブ活動とブランドの再構築
現在のアルバローザは、InstagramとHPを通じて正式なアーカイブを紹介しています。これまでに制作したオリジナルプリント柄は900を超え、シルクスクリーンの絵刷りは930種類以上残っているという豊富な資産を持っています。
また、『ハイビスカス新聞』Vol.1(2001年)からVol.10(2005年)までは、国立国会図書館で閲覧することができます。これらの資料は、アルバローザの真のスピリットを伝える貴重な資料となっています。
現在の入手方法は?
気になるのは、現在アルバローザの商品を購入することができるのかということです。
新品の購入は困難な状況
残念ながら、現在アルバローザのオリジナル商品は製造・販売されていません。2014年以降、ライセンス展開も終了しており、新品を正規ルートで購入することは困難な状況です。
中古市場での取引
一方で、中古市場では今でも根強い人気があります。フリマアプリやオークションサイトでは、当時の商品が高値で取引されることも珍しくありません。
特に、ブランケットコートやハイビスカスプリントのアイテムは、コレクターの間で高い価値を持っています。ただし、偽造品も多く出回っているため、購入時は十分な注意が必要です。
ギャル文化復活の兆し
近年、平成リバイバルブームの中で、ギャル文化にも再び注目が集まっています。
著名人の着用で話題に
冒頭でも触れた水原希子さんの着用をはじめ、芸能人がアルバローザを着用することで話題になるケースが増えています。これは、ブランドが持つ独特の魅力が時代を超えて愛されていることの証拠でもあります。
新世代への影響
みちょぱやゆきぽよなど、現代のギャル系タレントの活躍により、若い世代にもギャル文化が少しずつ浸透しています。また、『egg』のWEBマガジンとしての復活や、『nuts』のWEBメディア復活など、ギャル文化を支えるメディアも復活の兆しを見せています。
最後に
アルバローザの現在の代表である加藤るみさんは、「ブランドをきちんと理解してくれる方とであればコラボレーションをしたい」と語っています。
日本のものづくりの技術を残す取り組みや、伝統技術の中でアルバローザのプリント柄を活かす新しい試みにも協力したいとのことです。
40年以上の歴史を持つアルバローザが、どのような形で新たな時代に適応していくのか、今後の展開が注目されます。ギャル文化の象徴として多くの人の記憶に残るこのブランドが、再び輝きを取り戻す日が来るのかもしれません。